内分泌内科について

内分泌内科

内分泌という言葉は聞き慣れないかもしれません。内分泌内科では、体の中のさまざまなホルモンバランスの異常によって起こる様々な病気の診断と治療を行います。たとえば甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺、副腎皮質ホルモンなどを分泌する副腎、カルシウムイオンの調節を行っている副甲状腺、脳にある下垂体などを扱っています。ホルモンは非常に繊細な分泌、調節を行っているので、診療には専門的な知識が必要となります。当院では大学病院で内分泌・代謝内科で数々の症例の診療を行ってきた医師が診療いたします。ホルモンの病気は症状がはっきりとしないものも少なくなく、たとえば甲状腺の病気は疲れやすさやむくみを自覚されることがきっかけになったり、副腎の病気は高血圧や体重増加、下垂体の病気は午前中のからだのだるさ、喉の渇きやすさがきっかけになったりします。総合的に診察、検査、診断を行い、治療に結びつけていきます。内分泌の病気は遺伝が関係あるものもあります。これってなにかの病気のサイン?などご心配なことがある方はご相談ください。
他院で内分泌疾患の診断をされ、お近くでの継続的な通院を希望される方も継続加療が可能ですので、ご遠慮なくご相談ください。

主な対象疾患

橋本病 バセドウ病 無痛性甲状腺炎 亜急性甲状腺炎 甲状腺腫瘍 クッシング症候群 原発性アルドステロン症 褐色細胞腫 クッシング病 下垂体機能低下症 など

橋本病

甲状腺ホルモンが作られなくなり、甲状腺の機能が低下する代表的な病気です。女性にやや多くみられますが、男性にもみられます。甲状腺ホルモンはからだの代謝を調節しているホルモンです。甲状腺ホルモンが徐々に作られなくなり、甲状腺機能が低下すると、からだの新陳代謝が低下します。具体的には疲れやすくなったり、頭の働きが鈍くなり忘れっぽくなったり、ひどくなると認知症の原因の1つにもなります。寒がりになる、皮膚が乾燥してカサカサになる、からだがむくむ、体重が増える、便秘しがちになるなどの症状がみられます。心臓の機能に影響すると徐脈といって脈が遅くなることがあり、ひどくなると心不全にもなります。
橋本病はからだの診察と血液検査で甲状腺ホルモンの測定・橋本病に関係する抗体の測定を行うことで診断することができます。必要に応じて超音波検査も行います。治療は不足している甲状腺ホルモンを、飲み薬で補充していきます。すべての症状がみられるわけではありません。年齢を問わずみつかる病気ですので、ご心配な症状がある方はご相談ください。他の病院で橋本病と診断された患者さんもご相談ください。

バセドウ病(グレーブス病)

橋本病とは反対に、甲状腺ホルモンが過剰に作られる代表的な病気の一つがバセドウ病です。バセドウ病とは、特殊な抗体が作られてしまい、それが甲状腺を刺激して過剰に甲状腺ホルモンを分泌させるようになります。そのため、新陳代謝が盛んになり、疲れやすい(横になっていてもマラソンをしているような状態)、体重が減る、手が震える、不眠、発汗が多い、冬なのに暑い、髪が抜けやすくなる、などさまざまな症状がみられます。
バセドウ病はからだの診察と血液検査で甲状腺ホルモンの測定・バセドウ病に関係する抗体の測定を行うことで診断することができます。超音波で甲状腺の血流が増加していることを確認することもあります。治療は甲状腺ホルモンの分泌を抑える飲み薬を使います。飲み薬でホルモンの調節が難しい、薬の副作用が出た、などの理由で飲み薬以外の治療が必要になることがあります。当院では病気や治療に関する不安をできるだけ軽減できるように、丁寧に説明を行い、最適な治療をご提案することに努めています。

クッシング症候群

クッシング症候群とは、副腎皮質ホルモンを分泌する副腎に腫瘍ができて、そこから過剰に副腎皮質ホルモンが分泌される病気のことです。副腎皮質ホルモンはステロイドとして知られていますが、過剰に分泌されることでさまざまな症状がみられます。体重が増えやすくなり、中心性肥満といって、手足は細く、お腹の周囲に脂肪がつく特徴的な体系になることがあります。筋肉が落ちやすくなるため、ものを持ち上げる、立ち上がるなどの動作がしづらくなることもあります。皮膚ではにきびのような皮疹ができやすくなる、妊娠線のような赤い線がお腹の周囲に出現することもあります。また、高血圧や糖尿病、高脂血症を併発しやすくなります。
クッシング症候群はからだの診察と血液検査、超音波などで腫瘍をみつけることで診断することができます。治療は原因になっている腫瘍を手術でとることが一般的です。

原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症は、副腎皮質ホルモンの一つであるアルドステロンが過剰に分泌されるために起こる病気です。アルドステロンは腎臓に作用し、体の中にナトリウムと水分を蓄えるために高血圧を引き起こします。そのため原発性アルドステロン症は、高血圧でみつかることが多い病気です。また、尿にカリウムを排泄する作用があるため、アルドステロンが過剰になると血液中のカリウムが減り、筋力が低下したりします。病気の原因が片側の副腎なのか、両側の副腎なのかにより治療法は異なってくるので、治療前に詳しい検査を行います。
原発性アルドステロン症は血液検査で診断することができます。高血圧の治療に使う薬が検査に影響することがありますので、現在飲まれているお薬がある方はお薬の情報がわかるお薬手帳などをご持参ください。